最近特に三浦じゅんが好きなんであります。ご存知の方も多いでしょうが、今や完全に全国制覇したゆるキャラやマイブームの生みの親で職業不詳に見えますが、本業はイラストレーターなんですね。
80年代から続くサブカルチャーの系譜といいますか、故・ナンシー関、いとうせいこう、えのきどいちろう等、コラムニストとかライターとか呼ばれるちょい年上の人たちの文章にあたくし強く影響されておりますが、三浦じゅんの存在というのはなんというか、先の人たちが巷に何げなく存在するものの中から拾い上げた不自然さを伴う面白みのエキスを誰の目にも分かりやすく開示するような、例えば物まね芸人が極端にデフォルメして見せることである人の特徴を面白おかしく一般化するのに似たスタンスであるのに対して、そこから更に培養して純度を高めていくといった一種の芸なんではないかと思うんであります。
京都に生まれ育った彼は、敬愛してやまないボブ・ディランのポスターが雨の日には剥がれ落ちる土壁のような古都のもっちゃりした風土が大嫌いである一方、小学生の頃から仏像が大好きで弘法大師の物まねなどしてクラスから浮き上がるような子供だったそうです。
ディランのプロテストソングを歌って反体制を気取りつつも、一人っ子らしく親からもらった小遣いためて仏具を買うという思春期を経て上京、美大に進みます。
唯一無二といえるほど平和で安定したその時代の空気を腹いっぱい吸った世代らしく、かっちり芯が通ったというのからは対極にあるお気楽さとどうでもよさが、やがてゆるキャラに代表される様々な一種のムーブメントに結実?していくことになります。
もらって困るお土産「いやげもの」奇祭と呼ぶにはあまりにお間抜けな「とん祭り」日に数えるほどしか本数の無い時刻表「地獄表」絶滅寸前の「ゴムへび」「姫ダルマ」等々、当たった者も外したものもそれぞれにある中、あたしが一番好きなのは「アウトドア般若心経」なんであります。
般若心経の一文字一文字を外看板から撮った写真で被ることなく並べて完成させるというもので、そのためだけに全国を旅するのははたして行動力というべきなのか?ってな疑問符も含めて、「どうでもいいこと」に「一生懸命」であるスタンスこそまさに彼の真骨頂と言えるでしょう。
極めつけは駐車場で発見した「空あります」の看板に「空」が「有る!」色即是空空即是色の仏教真理を発見したという一件です。
仏教学科に在籍した経験を持つ三浦じゅんなればこその、深いんだか浅いんだか分からないけどなんとなく説得力を感じる物件ですな。物件って呼び方もそれっぽいしね。
今やネットを通じ極めてパーソナルな物事を発信できる時代にあって、三浦じゅんと彼を巡る人々の立ち位置は時・所を得たといえるでしょう。面白そうだと思ったらみなさんも動画とか探してみてくださいね。
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