そんなわけで歌合戦の一夜は明けまして御岳へ向かうよういっちゃんが早めに起きだして支度する間、あたくしとN部君は酒の香をだだよわせながら(誤字ではない)寝ふたっておりました。
山の端を越えた朝日が射しこみハウスが明るくなるとゴソゴソ起きだしカヤックに向かうよういちを送り出しまして。
うどん買って来てはあったけど飲み会の後もそのまま片付けてない上に作らせるんじゃ申し訳ないのでそれは帰路の事として、昨夜話した通り出かけることにいたしました。
何かといいますと野鳥の餌付けを始めたというN部君、樹間に響く声を聴き分けながら散歩するのが日課となっており、ある日ふくろうの声を追って歩くうち川の反対岸に古びた看板を見つけたという。
それは鍾乳洞の案内板だったのですが観光地化されたものではなく、ゆえに受付だのガイドだの照明だのは一切設置されておらずいわゆるケービングのポイントとして存在するだけで看板の寂れ方を見ただけで怖がりの彼としてはひとりじゃ取り付きまでも行くことができないと。
ここはエルフとして探検隊を結成し未踏の深山に分け入ろうではないかと持ち掛けられたようなわけでありました。
んじゃ行ってみよう!てんで
我々の年代で探検隊とくれば川口浩、おあつらえ向きにエルフ隊長はN部ひろしであります。
嘉門達夫の「ゆけゆけ川口浩」を口ずさみながら出発いたしました(ウソ)。
川を挟みちょうどハウスの反対あたりにそれはありました。
「尾須沢鍾乳洞」と書かれた木の看板は苔むして白抜きの文字もかすれがち、ちょうど恐怖映像のサムネな感じ?
こりゃ怖いわ ( ;∀;)
看板同様長く人の手が入っていないと見える山道は意外な急こう配で時折現れる丸太橋も渡るのを躊躇するほど細った部分がありおっかなびっくり、思ってたよりもずいぶん距離があると感じるのは初めての道のせいばかりではありますまい。
そういやホラー小説の傑作(マイナンバーワン)「仄暗い水の底から」鈴木光司著は、未発見の洞窟を見つけたケーバー二人が事故で閉じ込められ生き残った一人が地底の流れに潜水し繋がっているであろう川に向け脱出を試みるという話で終わり、短編全作を通じて続いていた水の流れがホラーにもかかわらず感動的に収斂されておりました。
ってなことを話しながら登るうち、あれ?何か人の声がしねえか?こんな場所で?
リアルホラーかと思いきや、見上げた場所にようかく見えた洞窟入り口は周囲が巨大な岩場を形成しており、そこに取り付いた数人のクライマーの姿が。
到着して休んでると後から登ってくる人もいて皆さん落下用のマット持参。
どうやらその筋には有名なゲレンデのようで、知らず勝手に人跡未踏と思い込んでいたじいさん二人拍子抜けしたことでございました。
もちろん鍾乳洞の中なんざまっぴら。ちょっといただけで降りてまいりました。
あたしゃ身体弱いんだけどプチ登山も楽しかったかも。
寝取られ編に続く