先日「アリ」というのをやってまして途中からだったし出来としては月並みでしたが、あの伝説のキンシャサ戦を現代の映像でじっくり見られたのは良かったです。若き日のウィル・スミスが驚くほどアリに似てて、その肉体美にもうっとり。変態かっ!
ベアナックル(グローブを着けない素手の殴り合い)時代のジャック・デンプシーに代表されるごとくそれまで大男同士のベタなどつき合いであったヘビー級に、「蝶のように舞い蜂のように刺す」華麗なフットワークのアウトボクシングスタイルで革命を起こしたカシアス・クレイ。その名は奴隷時代のものであるとして後にモハメド・アリと改名した彼は、対戦相手への容赦ない舌鋒や黒人差別に反抗してオリンピックで獲得した金メダルをドブに捨てるなど常に注目を浴びる存在で、ド派手なKO予告などbig mouthとあだ名されていました。
宗教上の理由に加え同じ被差別のアジア人と戦いたくないとベトナム戦争に兵役拒否したことでタイトルを剥奪され、ボクサーとして最も実り多いはずだった五年間を無為に試合か遠ざけられた後、既に下り坂にかかった32歳でめきめき頭角を現しつつあった若きチャンプ、ジョージ・フォアマンと再起をかけてアフリカはザイールのキンシャサでタイトルマッチに挑みます。
殺人的強打を誇るフォアマンに対しアリはロープを背負って巧みに相手のパンチをかわしつつ、連打に次ぐ連打で疲れの見えた八回、フォアマンの一瞬の隙を逃しませんでした。狙い澄ましたストレートたった二発!絶対不利と言われた事前の予想を見事に覆す奇跡のノックアウトで、アリは世界ヘビー級王座に返り咲いたのです!
当時の映像を見ても一見一方的に攻めまくっているように見えて次第に疲れの出てくるフォアマンをしきりに挑発し、的確なショートパンチで更にスタミナを奪う様子が見てとれます。口が立つだけでなく実にクレバーな戦いっぷりですね~。
https://www.youtube.com/watch?v=yAKEmR27iro
破れたフォアマンは失意のうちにその後の一時期を牧師として過ごしますが、実に40歳を過ぎてからアリ同様奇跡のカムバックでヘビー級王座に返り咲いています。
ちなみに若き日の沢木幸太郎は、後に数多くの世の若者を放浪の旅に駆り立てることになるその著書「深夜特急」の旅の途中にあって、中央アジアの片隅の国で電気屋の店頭に置かれたテレビでこの試合を見ていました。遥かな後年前述のフォアマンの試合をライターとして取材し作品にすることになるとは、まさに偶然のなせる技ではありませんか。
あの~、例によって記憶のみ頼りで書いてますんで間違ってたらぐみんなたい・・・。
まだ強固な人種差別の残る時代のアメリカにあってとかく注目され当局から狙われながらも、、決してぶれず己が信念を貫き通しその拳で再び栄光をつかみ取ったアリは、20世紀最も偉大なスポーツ選手としてその名を歴史に残したのです。かっちょいいですねえ~!
ロス五輪の開会式のサプライズで登場した時にはパーキンソン病(一説にはパンチドランカー症状とも)で現役時代の電光のような姿からは見る影もありませんでしたが、国家をしてオリンピックという国を挙げての祭典に彼を呼ばしめた事実は、かつて黒人として差別し続けたアメリカが今どのような思いでアリを見ているかを思わせます。
たった一人のボクサーが歴史を変えてゆく。あの大統領はあんまし変えられなかったみたいだけどさ (^_^;)
それではみなさんご一緒に!せ~の、ア~リボンバイエッ! ア~リボンバイエッ!ア~リボンバイエッ!
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