臭いというのは不思議なものです。なんだか記憶に直結してる様な気がします。
その臭いを嗅いだ瞬間それに付随した物事も含めて、まざまざと過去の状況が蘇ることってありませんか?
先日区営体育館の前を通りかかった時、子供達が出てきた拍子にプールのカルキ臭がしまして。そのとたん子供の頃のプールの記憶が、まさに実感を伴って噴き出してきたんです。焼けたコンクリートの熱さ、そこに耳を当てて抜いた水の生ぬるさ、更衣室の蒸し暑い籠った空気、眩しいほど青い空と遠い入道雲、子供達の歓声までが聞こえたような気がしました。そうだ、あの夏の日!
動物でも、視覚より嗅覚で世界を理解してるものの方が多いとか?人間にとっても原初の記憶に通ずる何かがあるのかもしれません、臭いって不思議!
タイトルは忘れましたが阿刀田高の短編に、こういった作品があります。
旅先の出会いで忘れ難い一夜を過ごした男が、彼女の残したノワールノワールという香水の小瓶を夜ごと開けては、闇の中に漂う香りに新たな逢瀬を繰り返すという。ところが段々に中身が減っていくのに、探せど探せど同じ品物が見つかりません。ネット検索など無かった時代、足に任せるより他に探すよすがとてありません。失う哀しみより邂逅の喜びに負けて、ついに瓶は空っぽに。傷心のある日、思いがけずノワールノワールが売られているのを見つけたものの・・・・。
「この人に姉妹がいても、これほど美しくはないかもしれない」そんな不思議な魅力の女性と、残り少ない香水と。無くしてしまうが故の微妙な心理のあやを、香の記憶に絡めて描いた秀作でした。
日本一モテない男、あたくし才谷屋としては、女性にまつわる香りの記憶とてありませんがなんとなく引っかかる・・・ああ、そういやイソジンの臭いかぁ!これ分かる奴ぁそうとう遊んでるな、あははははは!(^_^;)
前述の作品のモチーフは「夜間飛行」という名のふランスの香水だそうな。けどこれもともとのニュアンスで訳すと「暗闇の飛翔」ってんですと。確かにこの方が色っぽくていいよね。久々に飛翔しに行こうかしらん?闇の巷に(^v^)
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