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2019年1月24日木曜日

豊饒の海の今を想う

生田よしかつさんをご存知でしょうか?旧築地、現豊洲で魚の仲卸を営む三代目で、食としての魚はもちろん文化や社会問題としても広く発信されている方です。
昨日虎の門ニュースにゲスト出演されていて、非常に興味深いお話をされておりました。
曰く

海洋国家日本は面積で世界第六位、深度を含めた体積では四位という広大な海を排他的経済水域として持っておりその生態系、漁場としての豊かさは群を抜いているという。
なのに魚がいなくなってるんです!

それは最近よく聞くような他国の密漁によるためではなく、一にも二にも自国の乱獲によるものなんですと。
原因は国の規制の緩さにあると生田さんは言います。

漁獲量の縛りでいうと例えばノルウェーは50種類の魚を対象に各漁船ごとに決められるのに対し、遥かに多種類がいる日本では僅か8種類だけでしかも全国の総量に対してなんですと。
すると何が起こるか

解禁と同時に海に乗り出し規制の枠内が一杯になるまで我先にと獲りまくるため、大きかろうが小さかろうが見境無く魚体が成長する間がない。
特にクロマグロは産卵期を迎えて近海に戻ったところを巻き網で文字通り一網打尽にするため、卵が孵化する間もなく子孫が残せない。
対して先ほどのノルウェーでは各人の量が決められているため十分育って単価が上がるのを待ち、しかも複数の船が合同して1隻にまとまればコストが大幅に抑えられるわけです。

故に我が国の漁師さんの中には年収300万にも届かない方がいる一方、ノルウェーでは平均2000万の高収入であるという。
結果後継者問題、資源問題いずれも我が国は負のスパイラルに陥っておるんですね~ (*_*)

無論かの国でもこの方法を取り入れる時には激しい抵抗運動があったそうですが、結果が出た後には感謝の声が絶えないそうでして、日本におけるこのある種政治的問題の裏には水産庁の天下りや利権など根深い闇があるですと。
実は最近の捕鯨の話も全然違う裏があるんですが、長くなるので日を改めますね。

縄文の昔から狩猟採集を基として天の恵みを「いただきます」と感謝の気持ちで受けてきたあたくしたちは、野放図に膨張した欲望の挙句今や祖先から受け継いできたこの豊かな海を空っぽにしようとしているんですね。
今読んでる西尾幹二先生の「あなたは自由か」に書かれている如く、あり余るほどの自由の保証はかえって生物としての人間に根源的な意味での不自由を招くというパラドックスとも通底する気がいたしております。

誰かが痛みを持って本当のことを言わなくてはなりません。

あたしじゃないでしょうけど・・・ (^_^.)





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