江戸川カヤッククラブの雄、ECCさんは大変な読書家。氏のレビューはとても勉強になります。
先日「銀漢の賦」という小説について書かれてまして、あたしの大好きな「蝉しぐれ」の匂いがしたので早速購入しました。これが面白いっ!久々の傑作でした。
江戸の時代のとある藩で、心ならずも道を違える事になった三人の少年。一人は筆頭家老として藩政に辣腕をふるい、一人は一見うだつの上がらぬまま人生の峠を下りかかり、また一人は才気煥発ながらも身分ゆえに若くして・・・・。
折にふれ展開する回顧形式の中で、その昔三人の間に何があったのかが紐解かれてゆき、相反する立場に立ちながらも、実は40年の時を経て脈々と生きていた友情に胸が熱くなりました。
時代小説の必須アイテム、お家騒動、剣撃、秘太刀、友情、実らぬ淡い想い等が随所にちりばめられており、主人公が壮年を迎えた男たちである事も含め、胸のすく思いの終盤へ。そしてラストシーンでは自らに重ね合わせて思わず頬が緩みました。いや~良かったわ~!
ただ山本周五郎的と言おうか、女性の立場はあくまでも男の描く理想像で、耐えるのが美徳という面では女性読者の共感は得られないかもしれませんが。
作中効果的に使われるのが大好物の漢詩。タイトルになった銀漢とは天の川の事だそうで、夢多き少年時代、三人が見上げる満天の星空に降るように流れていました。
時移ったある時主人公の一人が「頭に銀をいただいて年季を経た男もまた、銀漢なのではないだろうか?」とつぶやきます。道はどうあれ人が生きるとはいかなる意味があるのか?白髪を蓄え老境を目前にして、越し方を振りかえり残日を数える時勃然として知るのかもしれません。
あたしもそんな年齢になりましたが無駄に長いだけで、我未だ木鶏たりえず、だね。字違う?
第一銀いただく程残ってね~し!それじゃ流れた水銀だよ、あははははは!
やかましいわっ!
0 件のコメント:
コメントを投稿