AMラジオ聞いてますと客層があたしらの年代から少し上と見えて、子供の頃流行った歌がよく流れます。当時はメディアの種類が限られていたせいもあり、一つの歌が社会現象のように巷を席巻する爆発的大ヒットというのがあったもんです。
先日放送されたダウンタウンブギウギバンドの「港のヨーコ横浜横須賀」もそんな歌の一つでした。中学一年の頃でしたか、これ流行ったの。
ビートの効いたバックに乗った二人称語りのセリフ回しで構成された曲で、キメの「あんた あの子の何なのさ?」はトリプルスリーなんぞ顔色なくすような本物の流行語になりました。
毎度申します通りブログに書く時にはネット検索しないで己の記憶に頼るのをポリシーとしてますので(字は調べるよ恥ずかしいから)、間違ってるかもしれませんがその詩を書いてみます。長いので忙しい人は帰っていいです。
ちょっと前なら覚えちゃいるが 一年前だとちと分からねえなあ
髪の長い女だって? ここにゃあたくさんいるからねえ 悪いなあ他をあたってくれよ
あんた あの子の何なのさ? ♫港のヨーコ横浜横須賀(以下同文)♫
半年前に辞めたはずさ あたいたちにゃあ挨拶なしさ
マリのお客を盗ったってそりゃあもう大騒ぎ 仁義を欠いちゃあいられやしないよ
あんた あの子の何なのさ?
ハマから流れてきた子だろ? ジルバがとっても上手くってよお
小さな子猫を拾った晩に 仔猫と一緒に消えちまった どこへ行ったか知らねえなあ
あんた あの子の何なのさ?
横須賀好きだって言ってたけど 外人相手じゃ可哀そうだったね
あんまり何にも言わない子でね仔猫と話していたっけ 前借残したまんまひと月たったらとんずらよ
あんた あの子の何なのさ?
たった今まで座っていたよ あそこの隅のボックスさ
客がどっかを触ったって 店を飛び出して行っちまった
ウブなねんねじゃあるまいし どうにかしてるよあの子
あんた あの子に惚れてるね?
当時は子供だったから分かんなかったけど、今こうして書きますと一人の男が盛り場を回ってはヨーコという女を探している姿が相手の語りから浮かび上がるという、ちょっと落語の「寝床」の番頭さんのような実に上手い作りになってますな。
まだピンサロとかが登場する前のバー、キャバレー、サロンの時代?ベトナム戦争真っ盛り、荒んだ京浜地区の風俗街が言葉の端々から伝わってきます。さすがに阿木洋子!
さてこの詩をよく読みますと気づくことがあります。一番だけはヨーコを憶えてないと言ってますね。ところがですよ「あの子」と言ってるじゃないすか?
自分で思い出せないとき「あ~、あれあれっ!」と言いますわな。で。人のいう事には「そう!それそれ!」なんてんで。つまり「あれの「あ」」は自分が認識してるもの「それ」の「そ」は他者が認識してるものに対して使われる訳です。してみるとヨーコを知らなけりゃ「あんた その子の何なのさ?」でなければならないはずです。
そうです!このフロアマネージャー(勝手に決めてますが)実はヨーコを知っていたんです!
おそらく男女の仲になっており、元カレ(当時なかった言葉)の出現にとっさに嘘をついたんですな。そしてヨーコの逃亡生活はここから始まったのです!いいのか?決めつけて?( ;∀;)
でですよ。よくできたこの詩の中にたった一つ瑕疵があります。
最後、元カレが表れたのに気付いたヨーコはとっさに「なにすんだよっ!このスケベ!」とか叫んで逃げ出したんですが、ここでの「どうにかしてるよあの子」
「どうか」はどうかしてる等状態を表し「に」が付くと「どうにかして」と動作を表します。ですからこの場合「どうかしてるよあの子」が正しいわけです。意味よりリズムをとったんでしょうが、あたしに言わせりゃ九仞の功を一簣に欠きましたな、ヨーコ (^-^)
ことほど左様にたった一字の事で意味が違ってしまう場合があり、これがまた日本語の面白いところなんですね。好きです、日本語。
全然関係ありませんが、靖国神社で爆発物のようなものが発火して騒ぎになった事件の続報が出てますね。トイレに不審物が仕掛けられてたとか。
〆に川流です
罰当たり 神仏なのに 不審物
お前が罰当たりじゃっ!
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