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2017年8月1日火曜日

一線を越える

毎度申し上げておりますように日本語が大好きでして、だからこそ「総活躍」だの「抱っこし放題」だのというまやかしの表現には虫唾が走るんであります。
でも今回のは好きだな~「一線を越える」!

あたくしが師とも崇める故・ナンシー関が書いてました、芸能レポーターが渦中の人物に「一番大切な人ですか?」と問いかける時それは「やっ〇んですか?」と翻訳することができると。書いた当人も下品だと認めてますが (*_*;
今回の表現は更に突っ込んだ「一線は越えたんですか?」 ちょっと文学的じゃないすか?
答える方も真顔ですもんね「一線は越えてません」って、あははははは ( ;∀;)
越えなきゃいいのか?という話とは別に、個人的には仕事きっちりしてりゃ色恋沙汰なんぞ他人の知ったこっちゃないと思ってますけどね。

ではこの「一線」とはなんでしょうか?
以前も取り上げました落語の名作「宮戸川」の世界をのぞいてみましょう。
帰宅が遅れて締め出しを食った隣同士の大家で幼馴染のお花と半七。おじさんの家に泊めてもらうという半七の後を追ってきたお花を見て、蟒蛇と異名をとる早飲み込みのおじさんは駆け落ちと勘違い、さっさと二人を二階に上げてご丁寧に梯子まで外してしまいます。
狭い三畳間に若い二人・・・。純情な半七は間に解いた帯を敷いてそこからこっちへは来ちゃダメと言いますが、お花の方はまんざらでもなさそうな?
背中合わせに横になったもののさあ、寝られるものじゃございません。そこへ突然の雷が!
一閃した稲妻に怯えたお花は半七の胸へ飛び込みその甘やかな匂いが鼻へツンとくる。思わず知らず背に回した手に力が入りますとお花の裾が割れて燃え立つような緋縮緬、そこから真っ白な足がス~っと!
・・・あとは本が破れてて読めなかったという ( *´艸`)

そうです。この帯の線こそ二人の一線だった訳で、一戦交えたんですか?的な現代の一線とは一線を画す粋な一線じゃあございませんか。

ところで余談ながらこの噺大抵はここで下げとなるんですが実は前半でして、なぜこのタイトルなのか分かる滅多に演じられない後半を聞く機会が先日ありまして。
半七の堅物い親父をおじさんがとりなしてどうにか夫婦になり子にも恵まれ商売も順調、そんな二人を思わぬ悲劇が襲います。ネタバレしちゃうと「鼠穴」同様それも夢だったんですが、アクの強い演者が演じると内容が陰惨なだけにちょっと聞くに堪えないようなところがありまして、だからいいとこで止めとくんだなあと納得いたしました。
あ~、この段無い方がきれいに終わったな~。いいとこで止めときゃよかった、つい噺となると身が入っちまいます (*_*;






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