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2015年1月16日金曜日

春風に想う

本読みの師と仰ぐECCさんのレビューを読み、ソッコー購入した小説「春風伝」
春風とは幕末の志士、高杉晋作の字名だと初めて知りました。晋作の生涯を描いた作品です。
大学の国語の入試験問題が、司馬遼太郎の「翔ぶが如く」から中村半次郎の下で、問題解くよりその面白さに衝撃を受け、帰り道で早速買って読み耽り、その次に読んだのが「世に棲む日々」でした。
長州藩全体を俯瞰的に描いた「世に棲む」に比べ、これは完全に晋作主体で書かれています。正直前半はやや持て余し気味。後に雷電、風雨の如しと評された晋作の爆発力の序章としては、その人間形成に至る道筋が弱く、上海の章も無駄に長いかと。残りの枚数では疾風怒濤の後半生まで行けるのか?しかし後半は、引っ張って溜めたカタルシスを一気に吹き飛ばす様な展開。思えばそれこそが晋作の生涯だったのでしょう。
司馬遼太郎が竜馬や大村益次郎を評して、時代が必要とした時忽然として現れ、役目が済むと大急ぎで召された、まるで天から遣わされたような人物としていますが、晋作もまた同じでした。特に公正な記録として残る外国公使の記述による晋作評は、後進国と見て傲岸不遜な態度の彼等をして悪魔と言わしめたほど威風堂々辺りを払うものでした。惰弱な官僚的幕閣しか見てこなかった彼らには、死を賭して臨むサムライの姿は衝撃的だったんでしょう。またその駆け引きも巧みで、その後イギリスは戦争の賠償相手だあったにもかかわらず、長州に強く惹きつけられるようになってゆきます。
京を追われた長州は、外においては外国艦隊の攻撃で疲弊したところへ幕府の討伐軍を四境に迎え、内においては固陋なる恭順派が大勢を握り攘夷派を弾圧と、まさに内憂外患。ここで長州が滅べばやがて外国の帝国主義に日本が蹂躙されるという、絶体絶命の危機についに晋作は決起します!その胆力、軍略!まさに快男児であります(長州弁)

作中ここっというところで竜馬が登場します。薩長連合の絡みは中岡慎太郎が周旋の先駆けで、竜馬は武器調達の実務を取り仕切るという形になっています。どっぷりの竜馬派としてはやや物足りなくはありますが、より史実に近いのはこちらの方かと。ちょいと出て来ただけで嬉しいもの(^o^)
竜馬を語る時、郷士の低い身分ゆえ逆に縛られず自由であったとされますが、反面バックを持たぬゆえ知略奇略と行動力で切り開くしかなかったとも。晋作の場合育ちの良さは軟弱さとはならず、逆に生まれながらに人の上に立つ器量を備えていたように思えます。この男無くばその後の歴史は大きく変わっていたことでしょう。わずか24年の生涯でしたが、男が男に惚れますなあ~!

学生時代幕末を偲ぶ一人旅をした折、土佐から馬関、長州へと回り、宵闇の功山寺にも立ち寄りました。かつて降りしきる雪の中、決然として起った晋作の騎馬姿が銅像になっており、その碑文はこう読めました。

 「一鞭維新回転す 鬼神にあらずや高杉先生」




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