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2021年7月13日火曜日

ハンナ・アーレントに学ぶ

 「目的のためには手段を選ばない」という言葉がありますね。

あれは手段の是非について言ったもので、単純に目的を達成するための有効性はまた別の話でありましょう。


ハンナ・アーレントの「エルサレムのアイヒマン」によれば親衛隊長としてナチのユダヤ人に対するホロコーストの主導的役割を務め、敗戦後長い逃亡の末捕らえられ裁かれた彼は、憎悪の対象として人々が求めた残虐で血も涙もないサディストという姿とはかけ離れた、出世欲と自己顕示欲は強いが実は小心翼々とした単なる小役人としての能吏であったという。

先ほどの手段の是非で言えば到底許されない、我が国が東京裁判ででっち上げられた人道に対する罪とは全く違う意味でそれに問われるべき人間であったことは間違いありませんが、ものすごく嫌な言葉にはなりますがいかに効率よく多くの人間を殺すかという目的においては、特に命令する側からすれば非常に優秀であったと言わざるを得ないわけです。

ただそれが招く結果に対する想像力を決定的に欠いていたことと人としての情の介在する余地が全く無かった点、単なる小役人が所を得て地位に上った歴史の悲劇と申しましょうか。


もちろんそんな大罪とは全く次元の違っていることは百も承知の上で申しますが、今回の西村大臣の外食に対する酒の取り扱いに関しての一連の発言を聞いてあたくしそれと似ていると思うんであります。

自粛要請に従わない店舗に酒を下ろしている業者を通じ、金融業者からの融資を止めると脅しをかけるというのは常軌を逸しているとしか思えません。

んが


ただでさえ疲弊の極みにあるところへ血液としての融資を止められると言われたら、そりゃいうこと聞きますわな。

目的達成のための手段としては有効なんでしょう。

ですが


あの人見かけからしても多分悪い人ではないでしょうし、立派過ぎるほどの経歴からしても間違いなく優秀な人なんでしょう。

ただ地べたで呻吟している一般庶民(そうでもない人も結構いらっしゃいますが)に対する想像力も情も一切無いところが、やっぱ似てますわな。

だって囂々たる非難で結果的に取り下げたとはいえ、それしゃべってる顔見ると(見たくもないけど)「なんで怒ってんのかなあ?」って感じですもんね ( ;∀;)







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